作家の志賀直哉が記した長編小説「暗夜行路」の草稿が千葉・我孫子市の民家から新たに見つかり、志賀直哉と地域の住民の交流を示す貴重な資料として注目されている。暗夜行路は志賀直哉が唯一手がけた長編小説で、1912年に執筆を始めてから25年後に完結し、志賀直哉はこのうちの8年間、我孫子市に書斎を構えて執筆に取り組んだ。草稿はこれまでにも多く見つかっているが、去年4月、市内に住む小熊吉明さんが自宅で曽祖父の遺品を整理していた際に新たに見つかり、市が専門家に鑑定を依頼して、直筆で未発見のものと確認されたという。草稿は表紙の記述などから当時、地域で鳥の剥製の販売などを行っていた小熊吉明さんの曽祖父に志賀直哉が譲ったとみられ、市は地域との交流がうかがえる貴重な資料だとしている。