おととい行われたビジネスアイデアの発表会。学生たちの夢は社会課題の解決とビジネスを両立させる社会起業家。経営者や投資家のもと、7か月にわたる起業家育成プログラムに挑むため、全国から公募で選ばれた10人の学生が都内の宿泊施設で合宿を行っていた。起業家育成プログラムの最終日に行われる発表会の準備が大詰めを迎えている。都内の大学3年生、鈴木瑠花さんが考えるビジネスはペットをブリーダーから直接、SNSなどを通じて購入するサービス。祖父が獣医だった鈴木さんは幼いころから動物に関わる仕事がしたいと考えていた。学校に通いながら犬猫保護のNPOやペットショップで働いたこともある。そうした中、オークションや店頭販売など複雑な流通の過程で亡くなるペットが多いことに気付かされる。構造を変えるためには新たなビジネスモデルが必要だと社会起業家を目指すことを決意した。育成プログラムを主催するのは経済産業省。入省4年目の若手官僚、荒川恵美さんが発案した。国がスタートアップ企業の創出を後押しする中、おととし、政策の1つとして採用された。去年卒業した1期生の中には教員不足を解決するための求人サイトやギフテッドと呼ばれる特定の分野に才能がある子どもを支援するサービスなどすでに会社を立ち上げた人たちもいる。ペット業界の社会起業家を目指している鈴木さんは3日後に迫る発表会を前に相談役のメンターと最後の打ち合わせを行っていた。アパレル業界で活躍する社会起業家から、魅力的なプレゼン資料になっていないとだめ出しされた。迎えた最終発表会、経営者や投資家からなる審査員とおよそ100人の観客が集まった。鈴木さんは資料を作り直し、SNSを効果的に活用することを全面に打ち出した。最優秀賞に選ばれたのは寄付の市場を成長させるビジネスを考案した大学生だった。そして鈴木さんは観客の投票が最も多い人に贈られる賞を獲得した。鈴木さんは4月から大学4年生、学生のうちに自分の会社を設立したいと考えている。