都内の劇場で上演された舞台「恋愛」。俳優だけでなく脚本や演出などで20人以上のろう者が参加した。チケットは完売、4日間で500人以上が来場した。この舞台を企画したろう者で映画監督の牧原依里さんは、俳優を育成する講座を開くなどろう者の芸術活動を支援している。手話から生まれてくる表現で象徴的なのがオープニング・エンディングの演出。手話の動きをアレンジした動作を繰り返し一人一人の動きを重ね視覚的なリズムを生み出す試みだという。複数の短編が上演されたこの舞台では他にもろう者ならではの視覚的な表現が工夫されていた。男性同士の感情がすれ違う場面では2人の手が入れ違い決して触れ合わない。恋人からの束縛をテーマにした作品では、恋人の浮気を疑う男性の心が揺れ動くさまを影絵で表現した。制作したろう者たちも手応えを感じていた。