核兵器禁止条約の3回目の締約国会議は「核なき世界に向けた取り組みを強化する」という政治宣言を採択して閉幕した。ただ、アメリカのトランプ政権を念頭に、フランスが核抑止力をヨーロッパに広げることを検討する考えを示すなど、核の抑止に頼ろうとする動きも出ている。日本被団協・日本原水爆被害者団体協議会が、ノーベル平和賞を受賞して以降、初めて開かれた核兵器禁止条約の締約国会議。3回目となった今回の会議にも、日本政府の代表は参加していない。過去2回、オブザーバーとして参加していたドイツ、ベルギー、ノルウェーの代表の姿はなく、アメリカの核の傘のもとにあるNATO北大西洋条約機構の加盟国の参加はなかった。会議の会期中にフランス・マクロン大統領はロシアの脅威が差し迫っているとして、核の傘をヨーロッパに広げる検討を始めるとした。会議では、政治宣言が採択され、国際情勢の不安定化が進む中でも、核なき世界に向けた取り組みを強化するとしている。核拡散と壊滅的な核軍拡競争の危険性が高まる中、国際社会の断固たる行動が早急に必要だとも強調した。胎内で被爆した経験を持つ濱住治郎さんは「核の抑止という考え方には真っ向から反対」と話し、日本被団協・田中熙巳代表委員は「今の状況はますます悪くなっている」と懸念を示した。