倉敷市真備町に住む山本夫妻は、西日本豪雨で自宅1階が浸水する被害を受けた。自宅を襲った泥水は息子の形見の車を飲み込んだ。長男の晃司さんは、28年前にバイクで帰宅中に車にはねられ帰らぬ人となった。晃司さんが大切にしていたのが、40年以上前に製造されたスポーツカーのZ。晃司さんの死後20年以上形見として大切に保管し、息子同然に愛情を注いでいた。水没後も手放せず、災害ボランティアに訪れた自動車整備士をめざす若者たちと出会った。2人はZを自動車整備士を養成する京都の専門学校に教材として寄贈することを決めた。そこで4年前に始まったのが、有志の生徒による復活プロジェクトだった。水没した車の修理は簡単なことではなかった。こだわったのが元の部品を生かすこと。作業に携わった生徒は3年半でのべ60人余。そして今年2月、遂にエンジンが動いた。修理が終わったZのエンジンをかけた晃司さんの両親は涙を流して感謝の言葉を述べた。
住所: 京都府久世郡御山町林27-6