世界自然遺産に登録されている鹿児島・徳之島は、固有の生き物が多く生息しているが、今、異変が起きている。ある特定外来生物の生息域が急速に拡大していると見られている。貴重な生態系への影響が懸念されている。島の東部にあるため池で昨夜行われたのが、ある外来種の捕獲作業。捕獲したのは、シロアゴガエル。東南アジア原産の体長5〜7センチほどのカエルで、特定外来生物に指定されている。地元の自然保護団体と環境省の職員によって50匹以上が捕獲された。卵のかたまりも相次いで見つかり、60個以上が駆除された。徳之島で初めて確認されたのは去年5月。貨物などに紛れて侵入したと見られる。生息が確認された地点は、当初の8か所から43か所と、生息域が急速に拡大していると見られている。世界自然遺産に登録されている鹿児島・徳之島に生息する固有種への影響が懸念されている。特に心配なのが、徳之島と奄美大島などにしか生息しない固有種・アマミアオガエルへの影響。餌となる昆虫や産卵場所を奪われるおそれが指摘されている。琉球大学・戸田守准教授は「シロアゴガエルは小さい水場でも繁殖してしまう」と述べた。この1年で駆除されたのは約6200匹。今はまだ世界自然遺産に登録された重要なエリアの中では確認されていないが、環境省は、繁殖場所となる池への侵入を防ぐネットを設置。シロアゴガエルの鳴き声を聞いたり、卵のかたまりを見つけたりした場合は連絡するよう住民に呼びかけている。専門家は、徳之島の島内でのこれ以上の拡大と、周辺の島への拡大を防ぐためにも、対策が重要と指摘。戸田准教授は「一番懸念されるのは、徳之島でどんどん飛び火してしまう。徳之島で広がってしまえば、やがて奄美大島に入ることは十分考えられるので、そういう意味でも大事なところ」と述べた。