作家の朝井リョウさん。最新作をネタバレ厳禁にしたねらいをこう語る。大学在学中、「桐島、部活やめるってよ」でデビュー。就職活動中の大学生を描いた4作目の「何者」で平成生まれの作家として初めて直木賞を受賞した。その後、生きづらさや多様性などテーマを広げた朝井さん。作品に込めた問題意識を自ら語ることもあった。共感が広がる一方で、こうしたテーマに抵抗感を抱く人に作品が届きにくくなっているのではと考えるようになった。常識外れのネタバレ厳禁。この道20年以上の担当編集者、石川和男さんのコメント。これまでにない挑戦は作品の中にも見られる。今回、朝井さんは人類ではない、ある存在を語り手に設定した。登場人物の1人称でも3人称でもない初めての試み。人類目線を離れて書く。そのアイデアが生まれたきっかけの一つがコロナ禍だった。人類が絶滅するかもしれないという実感。来年デビューから15年を迎える朝井さん。今後、目指す作家像とは。