再来年の世界文化遺産への登録を目指して文化庁の審議会は、奈良県明日香村などの飛鳥時代の遺跡、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群について、国内の候補として推薦することを決めた。飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群は、奈良県明日香村と橿原市、桜井市の6世紀末から8世紀初めにかけての飛鳥時代の文化財からなる。天武天皇などの宮殿があったとされる明日香村の飛鳥宮跡や、極彩色の壁画が見つかった高松塚古墳、橿原市の藤原宮跡など、22の文化財が構成資産として盛り込まれている。文化庁の審議会は選定理由について、東アジアの古代国家形成期において、中央集権体制が誕生し成立した過程について、宮都の変遷から示すことができる唯一無二の資産だとして、顕著な普遍的な価値が認められるとしている。また、これまで構成資産の保護が課題だったが、基本的には十分な保護措置を受けているとして、推薦が適当だとした。一方、審議会では、推薦書は英文で提出する必要があり、名称を分かりやすくするため、名称からその関連資産群を外して、飛鳥藤原の宮都として推薦するということだ。今後、政府は暫定版の推薦書をユネスコに提出し、ユネスコの諮問機関による事前審査を経て、早ければ2年後の世界遺産委員会で登録されるかどうかが決まる。