門司に点在する大正レトロな建築を田中が巡った。旧大阪商船の門司支店(1917年、河合幾次設計)は朝鮮や中国大陸への重要な拠点だった。港に隣接する赤レンガの建物は旧門司税関(1912年、妻木頼黄監修)。逓信省門司郵便局電話課庁舎(1924年、山田守設計、現門司電気通信レトロ館・NTT西日本)は門司で初めての鉄筋コンクリートの建造物。三宜楼(1931年)は門司で一二を争う高級料亭だった。木造3階建で部屋数は20以上あった。見学は無料(10~17時、月曜定休)。百畳間と呼ばれた大広間の舞台では能が演じられることもあった。旧門司三井倶楽部(1921年、松田昌平設計)は当時の社交場。国の重要文化財に指定されている。木製の柱や梁を外壁に露出させるハーフティンバー様式。ドイツ壁と呼ばれる凹凸のあるモルタル仕上げ。内装はアールデコを基調とした美しい装飾。