全国で最も多くの津波避難ビルがある大阪府。ここ数年でさらに整備が進んでいる。南海トラフ巨大地震による津波で大阪中心部の梅田では、最悪の場合、2メートル浸水する所もあるとされるなど深刻な被害が想定されている。速やかな避難が求められる中、避難場所はどの程度認知されているのか。専門家が、大阪市中心部の北区やその通勤圏内に住む人たちにインターネットでアンケートを行い、大阪府の沿岸に大津波警報が出された場合の行動について尋ねたところ、86.2%の人が津波から避難すると回答したが指定が進む津波避難ビルについて知っていた人は僅か14%にとどまった。調査を行った専門家は認知度を高める取り組みが必要だと指摘。さらに津波避難ビルがない地域もあり、いざというときに逃げ込めるビルを増やすことも必要だという。ただ梅田周辺の御堂筋沿い1.7キロの区間には、津波避難ビルに指定された建物はないうえに、同様の耐震基準を満たしかつ建物に入りやすく3階まで逃げ込めそうなビルは61棟中6棟しかなかった。関西大学・奥村与志弘教授は「いざという時に逃げようと思うようになったとしても逃げられるかどうかはまた別の問題」とコメント。