去年12月にユネスコの無形文化遺産に登録された焼酎などの日本の伝統的酒造りを支える人々に出会った。伝統的な焼酎造りを支える全国で1人の職人がいるということで、曽於市を訪ねた。津留安郎が工房でつくっているのは、焼酎の蒸留に使う木樽。ステンレス製の蒸留器が主流になる中、津留安郎が1人で作り続けてきた。材料には地元で取れる樹齢80年以上のスギと3年以上の竹だけを使うという。組み上げには接着剤も釘も使わない。16年前に勤めていた会社を退職し、職人の道に入った。津留安郎はこの日、木樽づくりで最も体力を使う作業を行っていた。津留安郎の木樽を使う蔵元が隣町の志布志市にあるという。高吉誠のいる蔵元では江戸時代後期に主流だった伝統的な焼酎造りをしている。津留安郎のつくった木樽にもろみを入れ、蒸気を吹き込んで沸騰させ、もろみからでたアルコール蒸気を冷却器で冷やし、焼酎にする。この場所では地域の食材を焼酎に漬け込み蒸留したお酒もつくっている。いちごの農園を訪ねると、収穫が最盛期を迎えていた。お酒に使われるいちごには規格外のいちごを使うという。