病院に入院中の男の子が、大切そうに白いお人形を抱っこしている。これは「キワニスドール」と呼ばれる真っ白な人形で、子供たちが顔を描き、そばに置いておくなどして、不安な入院生活を支えるもの。16年間、キワニスドールの作り方を伝え続けている中村禎良さん(85歳)は「子供のことに思いをはせながら、この人形を作る。そこに大きな価値がある」「病気の子供が抱いたときに、本当に安からな気持ちになる」と話す。中村さんはこの日、東京・世田谷区の田園調布学園中等部高等部で、およそ20人の生徒に指導を行った。入院中の子供たちが少しでも安心できるように、綿の詰め方まで細かく指導する。そして、完成したキワニスドールは首都圏の病院に全て寄付。それが、入院中の子供たちの支えになっている。入院中の男の子の父親は「ずっとこのベッドで1人で寝ているので、(寂しさや不安は)和らいでいると思います」と話す。キワニスドール作りを教え続けている中村さんは、6人の孫を持つおじいちゃん。“少しでも病気と闘う子供たちの力になりたい”という思いで活動している。中村さんは「家庭の幸せというのは健康から、それも特に子供の健康かなと。(キワニスドールが)役に立ってくれるなら、本当に素晴らしいことだという感じです」と話す。
住所: 東京都世田谷区東玉川2-21-8