日本を代表するキャラクターのひとつ、ハローキティ、通称キティちゃん。キティちゃんの生みの親、サンリオ創業者の辻信太郎さん(97)は三年前まで第一線に立ち、キティちゃんを世界的に人気のキャラクターに育て上げてきた。キティちゃんを生み出した辻さんの原点には自身の戦争体験がある。甲府市で生まれ育った辻さん。終戦の1か月前に空襲に見舞われたことを今も鮮明に覚えている。市街地の7割以上が焼き尽くされた甲府空襲は1127人が犠牲になった。辻さんは「家は燃えていくし人間も燃えていく」「おばあさんがいて男の人が起こしたらその下で赤ちゃんが水の中で溺れて死んでいた」「本当に恐ろしかった」などと明かす。二度と戦争を起こしてはいけないと考えるようになった辻さん。誕生日や記念日などの贈り物を笑顔で受け取ってもらうため考え出したのがキティちゃんというキャラクターだった。キティちゃんを生み出すにあたって辻さんが最も大事にしたのが可愛いということだった。キティちゃんを通じてみんななかよくという世界を実現したい。その思いはテーマパークで行われているパレードにもこめられている。みんな仲良くという理念はコラボにも現れている。他の企業や自治体からキャラクターの使用を求められれば積極的に受け入れてきた。北海道胆振東部地震など被災地の復興支援にも関わってきた。キティちゃんは、130以上の国と地域で商品が展開されている。実は辻さんはキティちゃんのファンの子どもたちに向けて平和の大切さを伝える取り込みを続けている。いちご新聞は50年前から発行していて、その紙面に自らの言葉を掲載してきた。いま世界各地で争いが起こっている状況について聞かれた辻さんは「話し合って解決していく世界を子どもたちにも教えていきたい」などと話していた。