商店街を埋め尽くさんばかりの支持者らの斎藤コールが響き渡る中、事務所に姿を見せた前兵庫県知事の斎藤元彦氏は、110万票あまりを獲得して再選を果たした。感謝と決意を述べた斎藤氏の目には涙が浮かんでいた。自身のパワハラ疑惑などについて百条委員会の調査を受け、今年9月、県政の停滞を理由に兵庫県議会から全会一致で不信任を突きつけられた。最後の登庁日には県職員に見送られることなく、1人、県の庁舎を去った。その3日後、斎藤氏の姿は駅前にあった。繰り返し頭を下げて挨拶するが、立ち止まることはおろか、見向きさえされない。有権者との対話を続ける中でのやりとりもあった。孤独にも映る序盤の選挙戦の流れを変えたのは、政治団体党首の立花孝志氏が知事選に出馬したこと。SNS上では「元知事がんばれ」と斎藤氏を応援する動きが徐々に活発化。日を追うごとに斎藤氏の姿を一目見ようと、演説には人が集まるようになっていった。投票日前日には熱気は最高潮に。途中、歩道橋にも人があふれ、注意を促すためか警報音まで鳴る混乱ぶり。大きなうねりがSNSから現実の世界へと波及していった。その結果、序盤の予想を覆して斎藤氏が返り咲く結果となった。次点で敗れた前尼崎市長の稲村和美氏は戸惑いを隠せない。斎藤氏は今日、逆転劇を生んだSNSについて話した。再び県政の舵を取る斎藤氏はあす、新知事として登庁する。