世界最高齢のトライアスロン選手・稲田弘さん。32年前、難病で寝たきりの妻を看病していた。看病で動かないままでいたらだめになると思い、家の前にできたスポーツジムに通い始め、身体を動かす楽しさに目覚めた。バイクを購入し、本格的にトライアスロンを始めた。妻には伝えないまま、70歳でトライアスロンの大会に初出場し、完走した。嬉しさのあまり、妻にトライアスロンをやっていることを話してしまったが、妻から、私ができない分頑張ってと言われたという。その後、病状が悪化し、妻は亡くなったという。それから22年間、トライアスロンに情熱を注いできた。82歳で出場した世界選手権で、ゴール直前、制限時間まであと少しという場面で転倒。ゴールしたものの、5秒オーバーで失格となった。世界中から応援のメッセージが届き、妻だけでなく、応援してくれる人の期待に応えなければならないとモチベーションが変わったという。翌年の世界選手権を含め、2度世界一に輝いた。86歳のときに樹立した最高齢完走記録は、ギネス記録として破られていない。練習の成果を毎日妻に報告しながら競技を続けている。現在92歳の稲田弘さん。進化できる、進化しているという気持ちがあるとうれしい、楽しく生きないと損だなどと話した。