東京都知事選挙が告示。立候補を届け出たのは56人。1400万人が暮らす首都東京のトップを選ぶ選挙で、関心も高くなり、前回と前々回の選挙では、候補者は20人を超え、ほかの知事選挙よりも多い傾向にある。今回は用意した選挙ポスターの掲示板の枠が足りなくなるほどで、一部の候補者には、掲示板の端にクリアファイルを画びょうや粘着テープで取り付けポスターを貼ってもらうという異例の事態になっている。候補者の数が多くなることは、有権者にとって選択肢が増えることになる。一方で、地方政治に詳しい専門家からは、知名度を上げて収入やビジネスにつなげようという側面もあるのではないかとの指摘もある。4月に行われた衆議院の東京15区の補欠選挙、選挙妨害の事件があった。候補者の中には、同様の行為が行われるおそれがあるとして、街頭演説はなるべく控え、SNSでの発信を強めようという動きもある。一方、行政側だが、都の選挙管理委員会は、演説を行うことや有権者が聞くことを困難にする妨害などは、法律に違反するおそれがあることを、チラシを作って、立候補者などに周知しているほか、警視庁は取締本部を設置し、違反の取締りに当たっている。首都東京で少子高齢化、防災など、国政とも重なる重要課題に民意が示される。また、衆議院議員の任期満了までは1年半を切っており、各党は次の衆議院選挙も視野に入れている。自民党などには、この首都決戦で勝てば、今の政治状況を変えることができるという見方がある。また立憲民主党などからは、岸田政権に信頼がないことを証明し、政権交代につなげたいとの声が聞かれる。政党色を抑えつつも、候補者支援に全力を挙げる方針でして、今回の結果は、各党の今後の選挙戦略にも影響するものと見られる。