映画「ジョイランドわたしの願い」では、伝統的な価値観の家庭で暮らす男性とトランスジェンダーのダンサーとの出会いが描かれている。パキスタン映画として初めてカンヌ映画祭で受賞したが、国内では上映を巡り保守系団体の強い反対を受け一旦は上映が見送られるなど議論を呼んだ。NGO代表・シェザディライさんは、トランスジェンダーなど性的マイノリティーの人権を守るための活動を行っている。シェザディライさんたち当事者の声を受け、2018年にトランスジェンダー保護法が成立。トランスジェンダーであることを理由に仕事や教育などで差別することが禁止された。さらに去年、カラチ市の市議会には格差是正のために、新たにトランスジェンダーの議席枠が設けられた。しかし、パキスタンでは性的マイノリティーの人たちは今も多くの困難に直面している。伝統的な価値観が根強いパキスタンではトランスジェンダー保護法の認知は進まず今も、教育や就職などで厳しい差別を受けている。こうした状況を受けて、ダンサーとして働く他物乞いや売春などをして生きていくしかないのが現状。こうした状況を改善しようとシェザディさんが今、力を入れているのが就職の支援。シェザディさんはどんなに時間がかかろうとも社会を変えていくために今後も活動を続ける考えだという。