街の総合病院、命の砦が窮地に立たされている。東京・世田谷区の至誠会第二病院。夜9時半、運び込まれた80代の男性は、熱が38℃以上あり動けない状態だった。応対したのは、この夜の救急外来を任された消化器内科の医師、呼吸器は専門外だが患者は肺炎の可能性があるという。そんな最中、近隣住民から頭痛を訴える患者の家族から電話があり診察を希望された。以前の救急外来は、内科医と外科医など3人の医師で対応していた。しかし、今は1人。80代の男性患者はその後、入院することになった。その内に、頭痛を訴えていた患者が到着した。しかし、医師の手が空かず廊下で待つことに。満足に患者を受け入れられない救急医療、そうなったのには理由があった。今年1月、東京女子医大の元理事長が背任容疑で逮捕された事件。岩本絹子元理事長は、1億円以上不正に支出し大学に損害を与えたとされている。至誠会第二病院は、東京女子医科大学の同窓会組織・至誠会が運営している。逮捕された元理事長は、至誠会のトップとして至誠会第二病院の経営の実権を握っていた。病院再生へ動き出した現場と経営陣、あるべき医療を取り戻そうとする挑戦を追った。