1966年に開場した国立劇場は歌舞伎や文楽、日本舞踊など伝統芸能の継承を目的に数多くの舞台が上演されてきた。老朽化による建て替えのため去年の10月末に閉場して1年が経つが、全国的な建設費の高騰で入札の不調が続き、まだ解体工事も始まっていない。国立劇場は伝統の火を絶やさないようにと東京都内のホールなどを借りて公演を開いているが、長期間会場を確保するのが難しく、閉場前と比べると公演の数は半分以下に減っているという。日本舞踊家・花柳寿楽さんは衣装やかつら小道具などの職人さんたちも仕事がなければ廃業に追い込まれてしまうと、1日も早く再開してほしいと危機感をあらわにしている。