羽島に上陸する許可をもらうため市役所へ。職員の白井さんによると羽島への交通手段は現在なし、完全に放置された状態だという。住んでいた島民全員が一気にこの島を離れたのは昭和46年。いまから53年前のこと。その時羽島は島民によって一度売りに出されたそうだが、「変な業者に買われたら困る」と山口県と萩市が半分ずつ島を買い取ったそう。ところでなぜ羽島はこんなに真っ平らなのか。マグマが何度も噴き出す火山とは異なり、羽島の場合いまから約16万年前に一度噴火しただけのため山が形成されず平良なままだという。その後も調査を進めると、かつて羽島に住んでいたという元島民の方に会うことができた。72歳の井町さんが島から離れたのは約60年前、12歳のときだったそう。井町さんによると当時は8軒・60人ほどいた島民が集団離島を決めたのは結婚問題や子どもたちの教育問題。そして1971年、本土に移り住んだという。さらに羽島に詳しい萩博物館の清水さんが貴重な写真を見つけてくれた。それは当時の島の生活ぶりが写された写真。集団離島が決まった後、1人の写真家が記録を残そうと写したものだそう。当時の島の航空写真を見てみると、港・集落が写っている。対岸の萩市であがる花火をお地蔵様の前でみんなで見ていたという記憶が蘇ってきた。いまは藪で覆われた羽島も50数年前までは一面葉タバコの畑だった。当時の島の主な産業がタバコの原料である葉タバコの栽培。しかし羽島には水などのインフラがなく、その作業は大変だったという。島を出る直前の集合写真には井町さんの家族が写っていた。井町さんによると、祖母から聞いた島にまつわる伝説があるという。
住所: 山口県萩市大字江向510
URL: https://www.city.hagi.lg.jp/
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