仏教と日本の結びつきは聖徳太子の時代から1500年が経とうとしている。初詣などでお寺へ行くと御本尊に手を合わせるが、それがどのような仏で何から私たちを救うと言われるか。「如来」と「菩薩」の違いとは。塩船観音寺には如来と菩薩が並んで祀られているお堂がある。違いを塩船観音寺執事・橋本紘彰さんが解説。「阿弥陀三尊像」は阿弥陀如来の両脇に菩薩が立っている。如来は釈迦が悟りを得た後の姿。菩薩は釈迦が悟りを得るための修行をしている姿。どちらも釈迦がモデルだが見た目にも明確な違いがある。如来は執着がないため比較的簡素な姿。菩薩は王子時代の姿のため装飾品(宝冠、瓔珞)を身に着けている。悟りを開き、仏となった如来には32の特徴がある。螺髪は右巻きに縮れた髪の毛で、悟りを開き高い知恵を持ったことを示す。白毫は長い白い毛で伸ばすと約4.5mもあり、仏の慈悲と知恵が光明となって放たれる。縵網相という手の指の間に金色の膜があり、人々を救う時に指の間から漏らさないためと言われている。足の裏にある千輻輪相とは人のあわれみや怒り、愚かさなどを取り除く徳を持った者に現れる模様。釈迦が長年にわたり仏法を説いたことで自然に浮かび上がったという。如来の中でも国内のお寺の半数で祀られているのは「阿弥陀如来」。阿弥陀如来は奈良時代に日本へ伝来。その後、平安時代に世間では疫病や地震など災いが頻発。この頃から死後の世界に対する関心が高まり、末法思想が流行。極楽浄土へ往生させる救済の仏である阿弥陀如来への信仰が急激に加速。阿弥陀如来以外にも釈迦如来や大日如来、薬師如来がある。薬師如来は左手に薬壺を持っている。右手を挙げて手のひらが見えるようにしているポーズ「印」にも意味がある。施無畏印とは人々から畏れを取り払う印。釈迦如来の多くは左右の手を上下にしたポーズをしている。右手は薬師如来と同じく畏れを取り除く意味の施無畏印、左手は人々の願いに応えて与えるという意味を持つ与願印をしている。修行中の釈迦がモデルとなった菩薩にも色んな種類がある。観音菩薩をはじめ、菩薩にはたくさんの種類が存在している。「お地蔵さん」の名で親しまれ、国内にある仏像の中で最も多いのが「地蔵菩薩」。地獄だろうとあらゆる場所に出向き人々を救う仏で、左手に意のままに願いをかなえる如意宝珠を持つ。今回紹介した如来や菩薩には部下がいる。「仏の顔も三度まで」ということわざを表したような仏は怖い顔をした仏像で後日紹介する。