衆議院予算委員会は新年度予算案に関して専門家から意見を聞く公聴会を開き、各党が推薦した専門家が財政や賃上げなどについて意見を述べている。自民党が推薦した日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏は「国債の利払い費の軽減に向けて低い金利を達成するためには、日本が健全な財政運営をしっかり行っていくことを世の中と金融界に認識してもらい信任を得ることが必要だ。これから先の財政運営に向けて経済的な余裕のある家計や企業の税負担や、余裕のない方の負担軽減の方法を考え負担の不公平の是正と財政収支の改善策を考えていただきたい」と述べた。国民民主党が推薦した東京大学大学院教授の渡辺努氏は「賃金、物価、金利の正常化は前向きに評価できる動きで、予算の中で価格転嫁や賃上げに向けた取り組みが織り込まれていることは非常に有効なことだ。しかし物価の上昇に賃金が追いつかなければ持続性は厳しくなる。価格も上昇するメカニズムが機能することで生産性の上昇という日本の力強さも取り戻せるのではないかと期待している」と述べた。公明党が推薦した日本旅館協会理事の大西雅之氏は「インバウンドの復活は数字のうえでもはっきりと見てとれるが、首都圏や大都市圏以外の地域ではまだその恩恵を享受できておらず、オーバーツーリズムの回避のためにも海外から地方に直接来てもらうことが重要だ。とりわけ宿泊業は人手不足に改善の兆しが見えておらず、外国人の雇用制度について手続きの円滑化など制度の改善に配慮してもらえば強力な人手不足対策になる」と述べた。れいわ新選組が推薦した日本被団協代表委員の田中熙巳氏は「戦争は国が起こすものだから市民に被害が生じた場合は国が責任を負うべきで健康上、生活上の被害への償いと核兵器の廃絶を基本的な要求として取り組んできた。ここ数年、国防予算が増えているが市民の被害についてはほとんど語られていない。これからの戦争は市民の被害がいちばん大きく、それを我慢させたままの国防は法制度上も誤っていることを強調したい」と述べた。