新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案が閣議決定された。補正予算案には物価高対策としてガソリン代・電気代・ガス代などの負担軽減措置の延長や住民税が非課税の低所得者世帯に7万円給付などの費用が盛り込まれた。また、持続的な賃上げの実現のために中小企業の生産性向上の取り組みを支援する補助金や介護職員らについて月額6000円程度賃上げする費用などが計上されている。一般会計の総額は13兆1992億円で全体の7割近くに当たる8兆8750億円は追加の国債を発行し賄うことにしている。今年度は当初予算の段階で一般会計の歳入の3割以上となる35兆円余を国債で賄う計画だったが、今回の追加発行で財政状況は一層厳しくなる。新たな経済対策の議論では税収増を国民に還元するとしている所得税などの減税を巡り、おととい鈴木財務相は「過去の税収増は当初予算・補正予算の編成を通じて政策的経費や国債償還に既に充てられている」と述べた。きょう鈴木財務相は「減税すればその分国債発行が必要と考えている。ただし今回の定額減税も含め令和6年度予算については歳出・歳入両面の観点から特に歳出改革は徹底して行っていきたい」と述べた。厳しい財政状況の中での予算編成について経済部の担当記者は「政府は今年6月の骨太の方針で歳出構造を平時に戻していくと明記した」と指摘。しかし、10兆円を上回る今回の補正予算案は平時とは言い難い規模。さらに3兆円台半ばが見込まれる所得税などの定額減税は補正予算とは別で来年度の財政状況に影響を与える。政府は今回の経済対策によってデフレ脱却を確かなものにするとしているだけに来年度の予算案の編成では歳出規模をどこまで平時に戻せるかが問われるだろう。