撮影2日目は祝日。大正時代に創業したというこの酒屋。実は長い間角打ちをやめていた。今の店主が10年前、ビールが売れなくなってできたスペースを使い、角打ちを再開した。お昼12時、開店。さっそく3人組のお客さんが入ってきた。3人のうち1人は居酒屋をやっており、仕入れも兼ねて来たという。今度は男女2人組がやってきた。男性は下駄を履いている。近所に住むご夫婦で、孫の小学校のイベントに来たついでに飲みに来たという。九州発祥の「角打ち」という呼び方は、近年広く使われるようになった。今は女性客も多く、この店では半数を占める。夜7時過ぎ、きょうも常連さんが集まっていた。電機メーカーの営業をしているという男性、地方への出張など忙しい毎日を送っている。落ち込むこともあるけど、ここでバカみたいな話をしてリセットしているという。ここの「ヌシ」と呼ばれている男性は、高齢の母親と二人暮らし、これまで職を転々としてきた。中学生の時、対人恐怖症になった。ずっと上手くいかなかった。そんな自分が、ここで人と話してつながっていられるということを不思議に感じている。本当に大事な場所とのこと。