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阿佐ヶ谷の酒屋の奥に、その秘密基地はある。酒屋の片隅で立ち飲みする「角打ち」。お酒を購入し、奥へ向かう。小さな酒屋で3日間、グラスを傾けるそれぞれの胸の内を聞かせてもらった。
東京・阿佐ヶ谷の駅前の商店街を歩くこと5分、今回の舞台の酒屋に到着。さっそく飲んでる人が居た。大学の先生だというアメリカ人の男性。日本酒が大好きで、月に1~2回ここに通っている。酒場の広さは8畳ほど。もともと倉庫だった場所を角打ち用に改装した。初めて来たという男性が居た。角打ちをやってると聞き、「すげえ」と思って覗いてみたとのこと。夕方5時を回ると、続々とお客さんが入ってきた。サクッと飲んですぐ帰る、この気軽さは角打ちならでは。角打ちを始めた10年ほど前、一番最初にここに通い出したという男性が居た。いつも仕事帰りに立ち寄っている。ここにたどり着いて飲む1杯目のビールが最高とのこと。続いて近所に住んでいるという男性。悪性リンパ腫を患い死ぬまでにやりたいことのリストを作ったが、その中に「おいしいお酒をいい仲間と飲みたい」という思いも書いた。それを実行しているとのこと。店内には全国の日本酒や海外のビールなど、600種類以上の品揃えがある。おつまみは駄菓子や缶詰などがある。安心して、うまい酒が安く飲めるこの場所に、それぞれ仕事も年齢も違う人たちが集う。夜7時を回ると、店内はますます賑わってきた。スーツ姿の男性が居た。コロナ禍で自粛しており、3年ぶりに来たという。居酒屋巡りが趣味で、遠方に住んでいるが、好きなお店に来るためなら距離は関係ないとのこと。1人静かに飲む女性が居た。ここに通い始めて6年ほど、仕事の後にワンクッション、息抜きとして来ているという。夜9時前、他の飲み屋と比べるとちょっと早めの店じまい。1日目の撮影が終わった。
撮影2日目は祝日。大正時代に創業したというこの酒屋。実は長い間角打ちをやめていた。今の店主が10年前、ビールが売れなくなってできたスペースを使い、角打ちを再開した。お昼12時、開店。さっそく3人組のお客さんが入ってきた。3人のうち1人は居酒屋をやっており、仕入れも兼ねて来たという。今度は男女2人組がやってきた。男性は下駄を履いている。近所に住むご夫婦で、孫の小学校のイベントに来たついでに飲みに来たという。九州発祥の「角打ち」という呼び方は、近年広く使われるようになった。今は女性客も多く、この店では半数を占める。夜7時過ぎ、きょうも常連さんが集まっていた。電機メーカーの営業をしているという男性、地方への出張など忙しい毎日を送っている。落ち込むこともあるけど、ここでバカみたいな話をしてリセットしているという。ここの「ヌシ」と呼ばれている男性は、高齢の母親と二人暮らし、これまで職を転々としてきた。中学生の時、対人恐怖症になった。ずっと上手くいかなかった。そんな自分が、ここで人と話してつながっていられるということを不思議に感じている。本当に大事な場所とのこと。
撮影3日目。男女4人組が来店した。鼻に棒を刺している男性がいた。男性はパプアニューギニアのコーヒーを出すカフェを経営しており、棒はヒクイドリの骨を削ったものだという。夜6時半、楽しそうに話す女性が居た。週1で通っているイラストレーター、金曜日に出るレアキャラとのこと。
撮影4日目。職場の同僚に日本酒をプレゼントするという女性が居た。値段が安いので冒険しやすい、立って飲むのですごい酔っ払いがいない、などの角打ちのメリットを話した。きょうはなかなかお客が来ない。店主は、こうした角打ちをいつかやりたいと思っていたということを話してくれた。誰も来ないまま、撮影終了時間を迎えた。
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