- 出演者
- -
琵琶湖の東、滋賀県彦根市に“あのベンチ”はある。最初に出会ったのはバイクで京都から来たという男女2人組。琵琶湖1周をしていて、あのベンチのことはインスタで知ったという。しばらくすると、別のバイクの集団が来てベンチで記念撮影をしていた。さらに別のバイク集団も訪れ、やはり記念撮影をした。その後、天候が悪化、あられが降り出し、ベンチ周辺は無人となった。しかしすぐに晴れ間が訪れた。この時期、このあたりの天候は変わりやすい。午後1時半、楽しそうな親子連れが訪れた。家が近いのでよく来ていて、夏には湖水浴もするのだという。いつの間にかベンチに腰掛けている人がいた。ドライブがてらよく訪れるという地元の男性。琵琶湖で車を止められてゆっくりできる場所は意外と少ないのだという。そうこうしていると、どんどん人が増えてきた。年齢も仕事もバラバラだが、ここで顔を合わせるうちに仲良くなったという集団もいた。日没後、街灯もない中で1組のカップルが訪れた。夕日が見たかったが間に合わなかったという。その後は、時折車は止まるものの、ベンチに座る人はいなかった。
撮影2日目。空気の澄んだ朝7時頃。犬の散歩中の男性と出会った。営業マンとして長く会社勤めをしてきたが、子どもが成人したこともあって早期退職をしたばかり。会社をやめようか悩んでいた頃は、毎週末ここに来て水面を見つめていたという。午前10時、車が1台入ってきた。大津から来たという男性で、この場所は楽器の練習のためよく訪れているのだという。自転車で来た2人組の男性がいた。ビワイチ(琵琶湖1周)にチャレンジしているのだという。結婚式を控えて前撮りに来た地元の新郎新婦もいた。地域の人たちにとってもここは特別な場所。夕方4時、きのう出会った集団がきょうも集まっていた。ベンチは誰が作ったのかと聞いてみると、すぐ近くの家の高齢の男性が作ったと教えてくれた。その男性を取材した。男性はかつて建築関係の仕事をしており、ゆっくり座って琵琶湖を見たいという思いから、15年ほどまえにベンチを設置したのだという。薄暗くなる中、1人ベンチに座る女性がいた。福祉関係の仕事のリフレッシュをするために京都からバイクで来たのだという。福祉関係の仕事の前には30年ほど占い師をしていたが、コロナで店が閉鎖になり職を失った。仕事を持てている今に幸せを感じている。
撮影3日目。朝9時。雨風の悪天候の中、自転車で訪れてベンチに腰掛ける男性がいた。天気予報では晴れだったとのこと。その後晴れて、琵琶湖には大きな虹が見えた。虹が消えたしばらく後、女性が1人で訪れた。不妊治療の帰り、ふとここに来たくなった。女性は既に不妊治療で1人目の子どもを授かっているため、2人目がほしいと思うのはおこがましいのかななどと複雑な気持ちを抱えている。しかし、ベンチに座って湖を眺めていると、そうした気持ちが落ち着いてくる。夕方5時、1人の若者に出会った。原付きで日本一周をしている。仕事を辞めたことをきっかけに、挑戦を決意したのだという。
撮影4日目。朝、誰もいないベンチの近くで写真を撮る女性がいた。青い琵琶湖が好きで、出勤前に立ち寄るのが日課。去年亡くなった夫の闘病中の数少ない楽しみが、静かな湖を愛でることだった。定期的に周辺のゴミ拾いをしているという女性がいた。拾っても拾っても追いつかないという。ベンチができた頃から通っているという男性がいた。ベンチのある場所は最初は秘密(場所を自分で見つけないと幸せになれない)とされており、男性は自力で見つけたのだという。幸せが訪れたかについて聞いてみると、「まあ普通です」とのことだった。
ドキュメント72時間の番組宣伝。