茶道や神社で見られる円座はいぐさやわらなどで作られる座布団となっていて、香川・高松市の円座町は菅をつかって円座を作ってきたことが町名の由来となった。菅はお遍路さんがかぶる菅笠にも使われた伝統の素材となっているが、菅円座は普通の円座と違い網目を見せない作りが特徴となっている。職人・葛西家に一子相伝で受け継がれてきたのだといい、讃岐菅円座は円座の中でも最高級品として知られてきたが門外不出の伝統は途絶えてしまった。その中で菅円座の伝統を復興させようとしているのは川口峰夫さんで、地元有志と協力して菅円座の作りを研究するとともに分解して構造を確かめるなどしてきたが構造の完全解読には約5年・製法の習得にさらに5年もの時間がかかったという。技法が明らかになると途絶えた技術を復元するための講座を行い、一子相伝の技を地域の宝へ変えようとした。しかし、菅の供給が不足していることから現在は川口さんしか菅円座を作ってないといい、川口さん自身も引き際を考えているという。それでも伝統が再び途絶えないように設計図は残しているのだといい、記録を残しておけば次の人ができるようになると話していた。地元の小学校では菅を栽培し菅円座の文化を学ぶ時間を設けていて、円座町では菅円座をかたどったお菓子も生まれているなど文化は生き残りつつある。