20代と30代の女性の数が2050年までの30年間で半数以下に減り最終的には消滅の可能性があるとされる自治体を「消滅可能性都市」と呼ぶ。民間の有識者グループ「人口戦略会議」が国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとにきょう最新の分析結果を公表し、全国の自治体の全体の4割にあたる744の自治体が消滅する可能性があるとされた。この数字、10年前にも同じような分析が行われただがそのときと比べると152少なくはなっているとはいえやっぱり4割というのは決して少なくない数字となっている。東京の豊島区は10年前、23区で唯一「消滅の可能性あり」とされ対策に取り組んできた。女性の声を施策に反映させるため区内に住む20代から30代の女性や子育て支援に関わる団体などで作るとしまF1会議を設置。出されたアイデアをもとに子育て支援や働く環境の整備などに関わる11の事業が実現した。その1つ、子育て支援ナビゲーターと呼ばれる専門の職員を配置する事業は区役所内に設けたスペースに職員が常駐し、妊娠や出産から子育てまで幅広い相談に乗っている。このほか子育て世帯の家賃を助成する制度も設けるなどして若い女性の転入を促してきた。豊島区子育て支援課・安達絵美子課長は「女性の目線でさまざまな施策の見直しを行う中で子育て支援にも力を入れてきた」と話した。区によると区内に住む20代と30代の女性はことし1月時点で4万8103人と10年前に比べて2500人余り増えたという。若い人が増えたこと自体はいいことだが人口は全体的には減り続けている傾向が続いている。実際、消滅可能性自治体の数が減った理由は外国人の入国者数が増えていることによるもので、実質的には有識者グループによると実態として少子化の基調は全く変わっていないとしている。そこで対策に役立ててもらおうと自治体の新たな定義区分「ブラックホール型自治体」を作った。「ブラックホール型自治体」はほかの地域から移り住む人たちによって人口が増えているが出生率は低いままの自治体のこと。あらゆるものを吸い込むブラックホールになぞらえて名付けた。ブラックホール型自治体とされたのは全国で25あり、その6割以上の16の自治体が東京23区の中にある。消滅可能性自治体を脱した豊島区もこのブラックホール型自治体に入っている。この指摘、どう受け止めたのかというのを高際みゆき・豊島区長に聞くと「よそから来てくれた人を二度と豊島区から出さない。自治体としてはここで子どもを生んで育てたいという観点から施策の充実をことしも来年もしっかりやっていきたい」と話していた。人口戦略会議の副議長を務めて前回10年前と今回ともに中心となって分析にあたった増田寛也さんは「10年前の提言のあと、各自治体の人口減対策は人口の流出を抑える社会減対策に重点が置かれてきた結果、若い人たちを近隣で奪い合うという状況になってしまった。今回の分析によって人口規模の大きい自治体は自然減対策が必要だということや、地域によって特性の違いが浮き彫りになったので今後に生かしてほしい」と話している。