東京23区のもやし200gの価格は2015年、29.8円だった。数年前からジワジワ上昇し、今年5月には35.6円。“40円の壁”が徐々に近づきつつある。国内だけでなく海外にも出店するラーメンチェーン「一風堂」は、味変アイテムとして無料で好きなだけ食べられるもやしを提供。もやし目当てで来店するという人もいる。もやしは調理も簡単、栄養も豊富だが、最大の魅力は天候に左右されない工場内で安定供給できるからこその値段の安さ。足立区「ベニースーパー佐野店」では1袋250gが税込48.6円。去年は同じサイズのもやしを40円ほどで販売できていた。同店の赤津友弥は「20円台、30円台が各お客さん頭の中にある」などと話した。40円台で販売したときは売り上げが一時的に落ち込んだ。安さが売りの埼玉県越谷市のスーパー「マルサン越谷花田店」では1袋税込21円で販売。客はまとめ買いしていた。青果部門副部長の板清英樹は「赤字で販売」などと話す。もやしは売り場戦略の要。この店では値段を1円上げるだけでも会議を行うほどで、値上げに踏み切れない。一方、生産者は原料コストや人件費が上がり続けているため、値上げに理解を求めている。取材の中では糸こんにゃくでかさ増しをしているという方もいた。