近衞文麿は五内閣総理大臣になった後にあまりの多忙で眠る時間さえ取れないとしていたが、自宅と官邸が近かったために気分転換もままならいと語っていた。そんな最中、混迷の時代を迎え、住居を移したいと出会ったのが東京の郊外の荻外荘。持ち主は大正天皇の侍医を務めた入澤達吉。近衛が入澤の診察を仰いでいた縁もあり、昭和12年に譲り受けた。始めてこの家に入った日に、近衛はふるさとへ帰った感じがしたと綴っている。日本は中国との戦争が行き詰まり、アメリカとの関係は悪化。ヨーロッパではナチス・ドイツが台頭し、第二次世界大戦が勃発。
