羽田発那覇行きの機内で突然意識不明になった男性。この便に偶然乗っていたのが沖縄出身の脳神経外科医だった。長時間立っていたり座っていたりすると血液が下半身に溜まっていく。すると血液の循環を保つために体は心拍数を上げる。その心拍数を上がりすぎないように適度に下げるのが迷走神経の役割だ。体調が悪い時など迷走神経が必要以上に心拍数を下げることがある。すると、脳に血液が回らず脳が貧血状態となり、最終的に失神する場合がある。これが迷走神経反射で、男性も迷走神経反射により失神したと思われた。男性を横にして貧血状態を回復することになった。医師の指示で男性の体を温め続けると男性は意識を取り戻した。
2019年4月、沖縄出身の脳神経外科医・猪野屋博は関東の病院に勤務していたが数年前まで沖縄の病院で働いていたため、月1回ほど弟に会いに来がてら自分が手術した患者の様子を見て回っていた。沖縄での滞在を終えて北海道に向かうはずだったが、その日の仕事がキャンセルになり沖縄でゆっくりしようと便を遅らせた。猪野屋はゆいレールでホテルに戻ろうとしていると、財布を落として困っている伯父の葬式のため与那国島に行くという高校生に6万円を貸した。6万円という金額が引っかかり、弟に話すとダマサれたんだよと言われた。