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「量子コンピューター」 のテレビ露出情報

今、「量子コンピューター」が世界中で激アツとなっている。2023年には理研が国産量子コンピューターの初号機を発表した。注目を集める理由は、桁違いの計算能力にある。従来のコンピューターは電気信号を使って0と1の二つの数字を表現している。一方、量子コンピューターは“重ね合わせ”ができるため、0と1を同時に表現することができる。これにより、従来のコンピューターと同じ桁数でも、より多くの情報を表現することができる。量子コンピューターが実現すれば、渋滞解消、新薬開発、宇宙全体のシミュレーションなど幅広い応用が期待されている。
そもそも“量子”とは、物質やエネルギーの最小単位のことで、原子や電子などミクロな粒子の総称。人気漫画「NARUTO」の多重影分身の術のような現象が、量子の世界では“量子の重ね合わせ”として実際に起きている。20世紀初頭、従来の物理学の矛盾を解決するため、「電子が分身している」という仮説が立てられたのがそもそもの始まり。また、“電子は単に増殖しているわけではなくひとつの電子が同じ時間に複数の場所に存在している”、というのが重ね合わせという考え方の出発点となった。それから量子力学が構築され始めた。電子の出現位置は人間が観測した瞬間にひとつの場所に収束し、100%の予測は不可能だということが分かった。アルベルト・アインシュタインはこの考え方を受け入れられず、「神はサイコロを振らない」と言い、出現位置を完全に予測できないのは量子力学の理論が不完全だからだとした。量子力学に肯定的な学者と否定的な学者の論争はなかなか決着がつかなかったが、次第に肯定的な方が優勢となり、ついには量子世界の存在が証明された。人々はいつしか、量子世界のことを知るために、量子のルールに則ったマシーンを作ろうと考えるようになった。量子コンピューターを作ることで量子の未知の世界を明らかにするという人類の挑戦が始まった。
量子の研究が盛んになっていた1981年、マサチューセッツ工科大学で世界中の物理学者たちが集まる会議が開かれた。ノーベル物理学賞受賞者でもあるリチャード・ファインマンが講演し、「自然をシミュレーションしたければ量子力学の原理でコンピューターを作らなくてはならない」と発言した。そのアイデアは多くの物理学者たちを奮い立たせた。イギリスの物理学者のデイビッド・ドイチュは「“重ね合わせ”を使えば従来のコンピューターとは全く別の論理で計算できるのではないか」と考えた。そして1985年、ドイチュは量子コンピューターの理論を定式化した。その実現に向けて、重ね合わせを表す仕組み“量子ビット”の開発が次の目標となった。当初この開発は難航したが、従来のコンピューターのチップ開発をしていた中村泰信と蔡兆申が、人工的に重ね合わせを作り出すことに成功したことで前進した。そして1999年、超伝導状態を用いて人工的な量子ビットの開発に成功した。
量子コンピューターの計算は、従来のコンピューターとはまるっきり異なる。一言でいうなら量子コンピューターは“波”を使って計算する。電子が出現する位置を記録していくと、出現確率を波として表すことができる。この“確率の波”はシュレーディンガー方程式という方程式で表されている。N個の量子ビットで2のN乗の重ね合わせが可能。つまり、2量子ビットで4パターン、10量子ビットで1024パターンの波が表せる。これにより、従来のコンピューターを遥かに凌ぐ超速計算が可能になるかもしれない。量子ビットの開発は難しいが、アメリカのジョン・マルチネスは試行錯誤の末、5つの量子ビットのコントロールに成功した。2014年、マルチネスの研究室はGoogleに買収された。そして2019年、54量子ビットの量子コンピューターや、“量子超越性”(量子コンピューターの計算能力がスパコンよりも優れていること)を達成したことを発表した。これにより、IBMやマイクロソフトを始めとした大手企業も量子コンピューターの開発に本腰を入れ始めた。アメリカでは国家量子イニシアチブ法が制定され、国を挙げて量子コンピューターを始めとする量子技術の研究開発を進めている。アメリカを追う中国では2020年、研究グループが「光子」を使った量子コンピューターで量子超越性を達成したと発表した。そして日本でも、2023年に国産の量子コンピューターが発表された。世界で量子コンピューターの開発が過熱する理由には、従来コンピューターの進歩の頭打ち、量子コンピューターの省エネ性、(究極の暗号、新薬開発など)量子コンピューターの応用の無限の可能性などがある。
しかし、量子コンピューターが実際に社会に役立てられるためにはまだまだ時間がかかると言われている。その大きな理由は、量子コンピューターはエラー訂正がまだできないこと。そんな中、アメリカの数学者ピーター・ショアは、エラー訂正のために量子世界の不思議な現象である“重ね合わせ”を利用するということを考えた。1つではなく複数の量子ビット同士を重ね合わせて情報を共有することで、エラーに強い状態になる。量子コンピューターが社会に役に立つ計算を行えるようになるためには100万量子ビットが必要だが、現在開発中の量子コンピューターは1000量子ビット程度で、先は長い。開発が難航する理由は、量子をノイズから守りつつ、精密に計算をさせるため操る技術が非常に難しいため。量子ビット数を増やすにつれてノイズが増え、制御も難しくなってくる。量子コンピューターの開発方式には超伝導、イオン、半導体などがあるが、どれが本命かはまだ言えない状況。何れにしてもさらなるブレイクスルーが必要となる。

他にもこんな番組で紹介されています…

2024年11月9日放送 6:00 - 6:30 NHK総合
NHKニュース おはよう日本(ニュース)
理化学研究所、NTTなどの研究グループが、従来の方式とは異なる光を使った新たな方式の量子コンピューターを開発。新方式では、2つの離れた物質の間で情報が瞬時に移動する量子テレポーテーションと呼ばれる現象を計算に応用する。グループによると、今回開発された量子コンピューターは、実用的な計算を行うにはまだ改良が必要だが、将来的には人間の神経回路を模倣したニューラルネ[…続きを読む]

2024年11月8日放送 1:20 - 1:50 NHK総合
漫画家イエナガの複雑社会を超定義(漫画家イエナガの複雑社会を超定義)
今、「量子コンピューター」が世界中で激アツとなっている。2023年には理研が国産量子コンピューターの初号機を発表した。注目を集める理由は、桁違いの計算能力にある。従来のコンピューターは電気信号を使って0と1の二つの数字を表現している。一方、量子コンピューターは“重ね合わせ”ができるため、0と1を同時に表現することができる。これにより、従来のコンピューターと同[…続きを読む]

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