旅の始まりは函館市の日ノ浜海岸から。渡島半島の東端に聳える恵山は標高618メートル、恐山と並ぶ霊場として崇められてきた。北海道出身の高田秋を迎え、ゴツゴツとした岩肌を眺めながら登山を始めた吉田類。150年前に水蒸気爆発があったという場所は、硫黄の結晶が石を黄色く染めていた。
吉田類が見つけた小さな赤い植物はイオウゴケ、マリリン・モンローのリップにあやかって「モンローリップ」との別名を持つ。さらにガンコウランやウラジロタデが生息しており、高田屋嘉兵衛が建てたと伝わる十一面観音像も姿を現した。海で遭難したことが霊山の始まりとされ、以来海の安全を祈る神聖な場となっている。
ヘルメットを被って杖をつきながら進み、標高618メートルの頂に到着した高田秋と吉田類。海の向こうに下北半島と恐山を望むことができ、近くの鳥居をくぐれば和人とアイヌ民族の歴史を紐解くこともできる。高田さんは「登るたびに景色が変わり、新しい発見が多く楽しかった」などと話した。