こどもホスピス「うみとそらのおうち」は、命にかかわる重い病気の子どもが看護師や保育士に見守られながら過ごせる施設だ。好きなときに利用でき、過ごし方は自由だ。スタッフがひとりひとりの病気を理解したうえで、遊びや学びをサポートする。18歳の吉田さんは、約2年前からこの施設を利用している。生まれつき心臓に疾患があり、1日10回ほどたんの吸引が必要で、外出できる時間や場所は限られている。酸素の持ち運びも必要で、上手く声を出すことができない。施設で、誕生日会やたこ焼きパーティーなどを経験し、自分の気持を伝えられるようになったという。施設は、約2年半前の開所以来、のべ300超の家族が利用した。スタッフとして働く梶原さんの娘は、2歳で小児がんがわかり、この施設で、クリスマスパーティーなどに参加した。娘は6才で亡くなったが、梶原さんは、施設を利用したことで、まだやりたいことがいっぱいあったのにという気持ちではなく、頑張って生き抜いたと思えたなどと話した。こどもホスピスと名のつく施設は、全国に数か所しかない。各地で、設立にむけてプロジェクトが発足しているが、支援が不十分で時間がかかっているという。この施設を設立した田川さんは、重い病気の子どもとその家族を孤立から守るために、こどもホスピスが必要、気軽に利用できて、子どもが笑顔で楽しい時間を過ごせる居場所だということをもっと知ってもらいたいなどと話した。こどもホスピスの開設や運営のためには、土地の確保や人件費の面で行政の支援が必要だという。