兵庫県にある関西国際大学。国際関係や経営、看護など6つの学部でおよそ2600人が学んでいる。ことしの大学全体の定員充足率は80%。数値を引き下げる要因となっているのが教育学部。以前は人気の学部として保育士や幼稚園、小学校の教員など多くの人材を送り出してきた。自宅から通う学生が多く、地元での就職を望む学生の受け皿にもなってきた。しかし3年前から入学者が減り始め、ことしは定員を大きく割り込んだ。この大学では、全学生の11%が修学支援新制度を利用している。制度が使えるかどうかは受験生の志望校選びに影響するため定員の8割以上の学生を確保することは死活問題。ことしから保育士を目指す学生に月額5万円を支給する独自の奨学金制度を作るなど対策に取り組んできた。しかし来年度の教育学部の定員をいったん減らすことを決断。定員8割を下回らないようにするための苦肉の策。修学支援新制度の見直しで必要な定員を確保できず、来年度から制度を利用できなくなった私立大学は8校。取材では保育士や教員などの養成課程を持つ大学が含まれていることも分かっている。大学経営に詳しい専門家、東京大学大学院教育学研究科・両角亜希子教授は制度の見直しによって地域に不可欠な人材を育てる大学まで影響が及ぶ可能性を指摘する。