フランス北西部の町ノナン・ル・パン。「椿姫」のモデルであるマリー・デュプレシはこの町に生まれ、近隣の町・ガセにも住んでいた。貧困と汚辱の少女時代を経てパリ社交界の華と呼ばれるまでに登りつめた。「椿姫」の原作者であるアレクサンドル・デュマ・フィスはマリーと同じ年にパリで生まれた。20歳の時にマリーと恋に落ちた。しかし幸福は長くは続かず、マリーも結核を患い23歳で早世する。その翌年、デュマ・フィスはマリーとの思い出を題材にした「椿姫」を上梓。やがてヴェルディによってオペラ化された。いにしえの花の都に生まれた悲恋の物語だったが、パリの町は今も愛に満ちあふれている。