2022年末までに特定秘密に指定されたのは702件でそのうち防衛省が399件。防衛省は特定秘密の不適切な取り扱いで58件・113人を処分した。58件中45件が海上自衛隊で発生。これを受け、衆議院 情報監視審査会は防衛大臣に勧告をした。情報監視審査会は政府が特定秘密保護法を乱用して情報を隠蔽するのを防ぐために2014年に設置。委員は8人。改善勧告には強制力はない。去年1月には海自幹部が海自OBへ特定秘密を漏洩し、勧告を受けている。情報監視委員会会長・岩や元防衛大臣は「防衛省が前回の勧告を重く受け止めず、真摯に取り組んでこなかった」と語っている。情報監視委員会は防衛省における情報の秘密区分が「特定秘密」と「秘」の2区分で、「特定秘密」の対象範囲が過度に人がって認識が希薄化したため不適切な運用が常態化している可能性がある、としている。軍事ライター・文谷数重氏は「不必要なものも含めて特定秘密の数が増え、情報を取り扱う人数も増えたのでは。情報保全教育の見直しより特定秘密の件数を精査して取り扱う隊員の数を減らすことが先決」と語っていた。中村さんは「情報が漏洩したというより、情報を取り扱う資格のない隊員が特定秘密を知りうる状態に置いたということでの処分がほとんど。法律の運用がきちんと議論されていなかったのではないか。日本の行政では法律には細かく書き込まず、通達として法令の解釈や取り扱いの基準などを通達していく。この『通達行政』は一定の合理性があるが、今回は法律の運用についてちゃんと詰められていなかったのではないか。防衛省から出ている対策防止策は『隊員への教育』や『情報の取り扱いが可能な人をきちんと区別する』などだが、それで解決できるか疑問。法律の運用を実態に合わせられるようにすることの方がより重要と感じる」と語った。柳澤さんは「『特定秘密とは何か』が原点として問われる。この法律ができるときにも『なにをもって特定秘密とするのか』は焦点となった。乱用防止の為の審査会もあるがそもそも運用を間違えると今回のようなことが起こる。僕はこれは運用上の問題だと思う。もう一度原点に立ち返り、『特定秘密保護法とはなにか』『何を誰から守るのか』を議論してもいいと思う。あれもこれも秘密、となると国民の知る権利も侵されかねない」と語った。