陽子の祖父・清太郎はカナダから帰国後、大東亜物産という商社に就職。日本の軍政下にあったフィリピンのマニラで働くことになった。昭和18年、陽子の母・久美子が日本の地で誕生。清太郎はマニラでカナダと同じように自由に輪を広げ働くことを夢見たが、徴用され軍属となってしまう。昭和20年、マニラで市街戦が始まり軍に所属していた清太郎は赤痢で死去。享年47歳だった。清太郎が久美子を抱き上げることはなかった。祖母のトクは生涯独身を貫き、女で一つで子どもを育て上げた。高校を卒業した久美子は高田香料に就職。南野英夫と出会い、3年後の昭和40年に結婚。2年後に待望の第一子・陽子が誕生した。高校在学中にスカウトされた陽子は父譲りの根性と母譲りの愛嬌でトップアイドルへの道を駆け上がった。