高知県安芸市の県立あき総合病院。ここでは年間100件のお産を担っている。高知県には出産施設が総合病院やクリニックなど全部で9軒。東部地域にはこのあき総合病院しかないため周辺の9つの市町村のお産の多くを引き受けている。池上信夫医師。この病院の産婦人科で2人しかいない常勤の医師の1人。もう1人は定年退職後に再雇用した医師で、夜間や休日の対応は池上医師が1人で担っている。病院で出産した女性。20キロ離れた北川村から来ていた。もしこの病院でお産ができなくなれば地域の人たちは県の中心部に通わなければならなくなる。池上医師は病院から徒歩で5分の所に住み、夜間や休日の急な出産にも備えている。分べん空白市町村が広がる中で特に負担が集中している病院がある。高知市の高知医療センター。ここでは持病のある人などハイリスクの妊婦を受け入れ、高度な医療を提供している。この病院ではハイリスクのほかにリスクの低い妊婦も受け入れ、月に50件ほどの分べんに対応してきたが、周辺の病院がお産を休止するなどしたため負担が集中。分べんの件数は月80件に急増した。医師や助産師の数を急には増やせないためリスクの低い妊婦の受け入れを制限せざるをえなくなった。地域のお産をどう守っていくのか。病院は今、岐路に立たされている。