長岡市の立川総合病院。年間900件のお産に常勤医6人で対応している。外来の仕事と並行して立て込む手術の日程。そこでは帝王切開による出産の準備が行われていた。帝王切開は医師2人で執刀する必要があり、外来を終えた医師がサポートに入る。立川総合病院が扱う年間900件のお産のうち帝王切開は約200件。出産年齢が上がっているため帝王切開の件数も30年間で2倍に。どの妊婦も突如、容態が変わる恐れがある。母子の2つの命を同時に守らなくてはならないため難しい判断を迫られる場面も少なくない。生まれてくるまで何が起こるか分からないからこそ安全な出産のため産婦人科医は大きな責任をもつ。その現場に今、突きつけられているのが医師の働き方改革という難題。日本医師会が2019年に行った調査では全国の病院常勤医の約4割で時間外労働が過労死ラインとする960時間を超えている実態が明らかになった。長時間労働の末、過去には新潟県内でも新潟市民病院に勤務する研修医が自殺するなど働き方が問題市されてきた。特に産婦人科や外科などで長時間労働の傾向が強く、2021年の調査では県内の分娩に対応する病院の産婦人科医の約3割で時間外労働が1860時間以上にのぼっていた。こうした中、国は規制の対象外だった医師の時間外労働も上限を設定し、2024年4月から年間の時間外労働は原則年間960時間に規制することとした。今で医師の献身によって支えられてきた医療体制は大きな変更を余儀なくされることに。十日町・津南地域の中核的な役割を果たしてきた新潟県立十日町病院の産婦人科はこれまで常勤医1人体制でお産に対応してきたが、働き方改革により体制を維持することが難しくなり分娩を休止することが決まった。これにより隣接する津南町を含む十日町・津南地域で出産できる施設はたかき医院のみに。合併症などリスクのある妊婦は魚沼基幹病院まで通う必要が生じる。
母・娘の2人の常勤医で地域のお産を支えてきたたかき医院。転院する妊婦も出てきた。たかき医院も存続が危ぶまれている厳しい現実に直面している。医院の経営は赤字が続いていたのだ。
母・娘の2人の常勤医で地域のお産を支えてきたたかき医院。転院する妊婦も出てきた。たかき医院も存続が危ぶまれている厳しい現実に直面している。医院の経営は赤字が続いていたのだ。