1945年8月6日、広島に世界で初めて原子爆弾が投下され1945年末までに約14万人が死亡した。漫画「はだしのゲン」は原爆の記憶を描いている。作者の中沢啓治さんは1984年8月6日放送のワイドショーでも父と兄弟を失った被爆体験を生々しく語っている。中沢さんは漫画家としてデビューした頃は自らの被爆体験を語ることは避けていた。最愛の母は長年原爆の後遺症に苦しんだ末に死亡。一欠片の骨も残っていなかった。怒りをぶつけるかのように中沢さんは原爆をテーマにした漫画を次々と発表する。そして誕生したのが「はだしのゲン」。しかし多くの読者に届けるまでには大きな壁があった。