夏の全国大会が開幕した。およそ1万1千のチームが参加するいわば小学生の甲子園。辻のチームは滋賀県代表として勝負に臨む。初戦の相手は宮城県代表で全国大会に6度出場している強豪。試合前日、子どもたちと相手チームの映像を見ながら攻略の糸口を探る。試合当日、辻は病気と闘いながら練習を続けてきた生魚くんにピッチャーを託した。初めて立つ全国大会のマウンドで得点を許すことなく初回を抑えた。滋賀の攻撃は打撃の練習を重ねてきた松永くんが先制点をもぎ取った。守備でも松永くんのビッグプレーが飛び出す。だが生魚くんの投球が乱れ始め、代わってマウンドを託されたのは6年生の清水くん。牽制球のエラーで得点を許した。辻はノーサインを貫く。2点リードで迎えた最終回。土壇場で逆転を許した。最終回の攻撃、ツーアウトから清水くんが塁に出た。清水くんが自らの考えで試合を前に進める。5-4で子どもたちとの夏が終わった。その日の夜、辻は「いやでも負けてないですよ。あのプレッシャーの中であの子らは勝ったんですよ」と話した。6日後、グラウンドに辻の姿があった。皆知っている、失敗してからが本当のスタートだと。辻はプロフェッショナルとは目標をクリアしてもさらに高い壁を自ら作って指導者が気づいてないような壁まで倒せるような思考だと話した。