日本を訪れる外国人旅行者が2か月連続で300万人を超える中、日本の職人技をブランド化してアピールし、世界の市場を開拓しようという取り組みが羽田空港から始まった。羽田空港・国際線ターミナルにある海外の有名ブランドが立ち並ぶ一角に、日本各地の名品や逸品を集めた免税店がある。店頭に並ぶのは、表情が緻密に彫り込まれた一刀彫りのだるまや、まげ木の加工技術を生かした名刺入れなど、職人の技が存分に生かされた商品。商品の説明はQRコードからもアクセスでき、目利きのバイヤーによる商品の背景や製作体験などの情報を得ることができる。この店を仕掛けたのは、大手デパート・三越伊勢丹ホールディングスでトップを務め、さまざまなブランドを育ててきた大西洋社長。大西社長は海外ブランドの素材などに使われてきた日本の伝統技術について、それ自体がブランドとしてもっと評価されるべきだと考えている。多くの外国人が訪れる羽田空港を拠点に、日本の職人技をブランド化し、価値に見合う価格で海外に販路を広げていくことで、地域経済にも貢献できると考えている。こうした動きが新たな活力となっている伝統工芸の現場もある。香川県で讃岐かがり手まり保存会に長年携わってきた溝渕友恵さん。一度は途絶えた工芸だったが、のちに地域の人たちの手によって復興を遂げた。これまで地域の物産館やオンラインショップを中心に販売してきたが、およそ半年前に羽田の店舗に商品を出品するようになってから、販売点数が倍以上に増えたという。さらに、羽田空港での出品をきっかけに、日本を再び訪れた外国人に工房にも足を運んでもらいたいと考えている。
住所: 東京都 田区羽田空港2-6-5