ミャンマーのイスラム教徒の少数派ロヒンギャ。仏教徒が9割を占めるミャンマーで暮らしてきたが、宗教の違いや歴史的な背景から長年に渡り迫害を受けてきた。今も内戦が続く中多くの人が故郷を追われ、隣国のバングラデシュへ逃れている。バングラデシュのコックスバザールにある難民キャンプには100万人超えのロヒンギャの人達が暮らし、世界の難民キャンプの中でも最も密集している場所の1つと言われている。医療や食料は慢性的に不足し、教育や仕事の機会も制限されている他、雨季には大雨により土砂崩れが発生するなど過酷な状況に置かれている。そこでロヒンギャの人達は難民キャンプからの脱出を試みている。同じイスラム教徒が多数を占めるマレーシアやインドネシアを目指して海路やタイからの陸路を使う。しかしこの海域は世界有数の危険な海とも呼ばれていて遭難する船が続出。去年だけでも約900人が死亡または行方不明となった。今年6月下旬にも500人以上を乗せた船2隻が転覆。その船に乗っていたとみられる18歳の男性は今も行方不明。男性は「両親を助けるためマレーシアへ行く」と言い残し出ていったという。過酷な環境から逃れようと、繰り返し危険な海に向かう若者も後を絶たない。ミャンマーでは今も軍と民主派勢力や少数民族の武装勢力との戦闘が続いている。軍は国内のロヒンギャの若者を強制的に徴兵し戦線に投入。他の民族との軋轢もさらに深まる結果となっている。命の危険があるミャンマー、希望を抱けないバングラデシュの難民キャンプ、そこから逃れようと目指すのがマレーシアだという。マレーシアでは12万人以上のロヒンギャの人々が暮らしているとみられるが、危険を冒してたどり着いた先でも厳しい現実が待っている。2017年にマレーシアに渡った20代男性は、小さな漁船に51人もの人々が押し込まれ、食料も水も不足する中で10人が命を落としたという。たどり着いたマレーシアでは、滞在許可がおりず今も正規の仕事に就くことができないという。
