ドキュメント20min． （ドキュメント20min．）
相馬野馬追は7月末に3日間に渡って行われ、参加者である侍たちは騎乗して出陣する。野馬追は平安時代、平将門が軍事訓練として始めたといい、見せ場の1つが神旗争奪戦。大門志光ディレクターは乗馬の経験が無いなか、争奪戦への出場を目指し、乗馬のインストラクターである坂本邦雄氏のもとで練習を重ねた。あれこれとサポートしてくれたのが菅野長八氏で、郵便局に勤める傍ら、家族の献身的な支援もあって野馬追に出陣してきた。だが、東日本大震災による津波で多くの家族を失い、長女、夫人の遺体は見つかったが、母と長男は行方不明のまま。人づてに家族たちは馬や甲冑を避難させようとしたことで逃げ遅れたと聞き、長八氏は罪悪感を覚えていた。
長八氏は亡き家族に「元気でやってる」ことを示すため、野馬追に出陣し続けてきた。相馬家第34代の相馬行胤氏は震災と原発事故の前、相馬地方でしいたけを栽培していた。今は家族とともに広島へ移住し、酪農を営むなか、相馬野馬追を次なる世代に継承しようと専心する。コロナ禍では無観客でも開催した。相馬野馬追の2日目、神旗争奪戦が幕を開けた。打ち上げられた旗を180人の騎馬武者が奪い合う内容で、大門ディレクターは旗を獲得できずに野馬追の難しさを痛感した。長八氏から「来年も出ろよ」と励まされた大門ディレクターは人と人、人と地域を繋げるものが伝統行事だと考えていた。翌日、南相馬市役所を訪れ、婚姻届を提出した。