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米・ワシントンで「黒人の命は大切だ」の文字が撤去された。5年前に黒人男性が白人警察官に抑えつけられ死亡した事件をきっかけに全米で抗議デモが広がり、この文字は運動の象徴となった。今回の撤去の背景にはトランプ政権が掲げた「DEI」の撤廃がある。DEIは多様性・公平性・包摂性の頭文字を取った言葉で、性別や人種などの多様性を尊重して公平性に配慮した社会を目指す動きを指す。トランプ大統領は就任早々DEIに異を唱えた。まず「性別は男女だけ」として性的少数者の存在を否定。また1月にワシントン近郊で起きた旅客機と軍のヘリコプターの衝突事故では、バイデン政権が進めた障害者や有色人種などの採用を増やした措置に問題があったと主張した。さらにトランプ政権は「多様性を過度に重視した」などとして、沿岸警備隊初の初の女性司令官を解任。続いて黒人の米軍制服組トップや女性の海軍制服組トップを解任した。そして4日の施政方針演説で改めてDEIの否定を明言した。このトランプ政権の方針に呼応する動きが企業にも広がっている。米・マクドナルドは経営幹部の構成に多様性を求める目標などを撤廃した。メタやウォルマートなどもDEIに関する取り組みを廃止・縮小するとしている。こうした現状に危機感が高まる中、8日の国際女性デーでは多くの人が声を上げた。