新美の巨人たち 新美の巨人たち
日本画家の東京藝術大学の荒井経は、葛飾応為の吉原格子先之図について墨による影の表現だけではなく明るい側や光というのも意識しているという。複雑な色合いの光と影が組み合わされた部分を再現いしてもらう。薄い墨で輪郭を描き、そのうえで墨で陰影を描く。次に色を加えるが透明度のある絵の具で色をのせ、その上に黒い墨をかぶせていく。衣装の模様を描いていくが、荒井先生が驚いたのはここまで細かく組み立てることはあまりないという。そして目を凝らしてみた部分には、その証が。浮世絵の雲母とにかわをまぜたものを明かりが当たる部分に塗る。また提灯には応為の名前と本名の栄という文字が隠された隠し落款が。