Nスタ (特集)
東京・新宿にある救急病院。処置室は患者であふれかえり、病院の前には救急車が4台も列をなす。そして増え続ける外国人観光客の患者たち。東京・新宿の守り神、断らない救急病院を取材。ランチタイムも落ち着いた午後2時ごろ、病院に運ばれてきたのは60代女性。女性は自転車を運転中、バランスを崩し転倒。頭と右肩をアスファルトに打ちつけ、辺りには血だまりができるほどだった。レントゲン、CTを撮影後、医師が診断すると、出血のあった頭部に異常はなかったが、利き腕の右肩を骨折してしまった。すぐに入院、手術の必要があるという。応急処置として医療用ホッチキスで縫合し、頭の出血を抑えた。実はこの女性は長年勤めたコールセンターの仕事でリストラされ、この日、清掃の仕事に合格したばかり。女性は2日間の入院を余儀なくされたが、けがと全力で向き合うと前向きな気持ちを見せた。60代女性、春山記念病院・鷲見晶医師のコメント。今回、番組が取材したのは、東京都新宿区にある春山記念病院。日本一の歓楽街・歌舞伎町に隣接しているため、老若男女、様々な患者がやってくる。今回の密着取材中も、最大4台の救急車が病院の前に列を作るほど。夜間にもかかわらず、処置室、待合室も野戦病院さながらの状況が続く。「断らない病院」として、麻酔科医、内科医もフル稼働し、今年度は年間8000台の救急車を受け入れる勢い。多くの人が家路を急ぐ午後7時ごろ、運ばれてきたのはマレーシア人男性。男性はこの日、観光バスで荷物を取り出す際に頭をぶつけ、出血が止まらないという。そのため医療用ホッチキスで縫合して止血。男性は日本の保険に加入していないため全額負担になってしまったが、出血が止まり胸をなで下ろした。近年、増加するのが外国人患者。旅行中インフルエンザにかかってしまったシンガポール人。一方、調理中に誤って手を切ってしまった中国人は20針も縫う大けがを負った。そのため病院には医療用語も訳せる通訳を配置。異国での不安な気持ちを取り除く。東京・新宿区の映像。春山記念病院・藤川翼副院長、春山記念病院・木村一馬医師、マレーシア人男性、米国人観光客、通訳のコメント。新宿という場所柄多いのが、お酒絡みのけが。20代女性の付き添いは、付き合って5年の彼氏。実はこの2人、酔いが回り大げんかに発展。彼女が殴りかかろうとしたところ体勢を崩して顔から転倒し、鼻を骨折してしまった。一方、終電もなくなり人通りも少なくなった午前3時、病院に搬送されてきたのは男性3人組。偶然出会った2つのグループが意気投合し、楽しく飲んでいると、1人が泥酔して仲間に暴力。馬乗りになって殴ったり背負い投げをされ、2人がけがを負ったという。すぐにCT、レントゲンを撮影。1人は骨などには影響はなく、擦り傷だけで済んだが、もう一人は骨折。なんと暴力を振るった友人は格闘技経験者だという。それだけに怒り心頭。骨折した20代女性、付き添いの男性、春山記念病院・木村一馬医師、骨折した20代男性のコメント。穏やかな天気の午後3時。病院に運ばれてきたのは40代の母親と9歳の娘。母親の顔色は真っ青で、ぐったりとした苦しい様子がうかがえる。誕生日プレゼントを選びに行ったところ、母親は突然、娘の前で体調を崩して嘔吐したという。大好きな母親が突然倒れ、動揺を隠しきれない娘。CTを撮影して細かく診ていき、念のため点滴をして血液検査を行った。父親も急いで駆けつける。心配した娘もほっとした表情。母親は今後は「お酒を控える」と娘と約束し、病院を後にした。年間8000台の救急車を受け入れる、断らない救急病院では、今このときも職員が一丸となって患者を受け入れる準備を進めている。