NHKスペシャル 米価騒乱“増産転換”の行方は 密着・農林水産省コメ対策チーム
令和のコメ騒動とも言われる混乱をめぐり8月、農林水産省は異例の謝罪を行った。価格高騰の要員にコメ不足があったことを初めて認めた。政策の不備を突きつけられた農林水産省。コメ対策チームにカメラが入った。判明したのは2年間で76万トンのコメが不足していた現実。これまでの農政の常識に囚われていたことが一因だった。日本のコメの消費量は食生活の変化から減少に転じコメ余りの時代となった。そこで採用されたのは減反政策。本格的に始まったのは1978年。農家かあらは収入が減ると反発があった。生産の抑制を迫られた産地は質の向上を図ることに活路を見出そうとしてきた。生産を抑える仕組みはコメの価格を維持するため形を変えながら続いている。これまで綱渡りで続けられてきたが今回、限界が露わになった。インバウンドなどの影響で需要が想定外に増加。さらに生産の現場でも異変が生じている。質の向上に活路を見出してきた日本のコメ作りは猛暑により岐路に立たされている。出荷できないコメが増え生産量が目切りしている。農林水産省の検証の結果、コメ全体で2年間に16万トンが目減りし生産の不足につながったと指摘する。産地に対して暑さに強い品種への切り替えを促しているが生産者から戸惑いの声もあがっている。需給の動向を見誤った農林水産省。対策チームは農業関係者への説明に追われている。先月、農林水産省はコメの需要見通しの算出方法をインバウンドの動向などを含める形に見直した。専門家は需要の減少を前提にした政策の副作用を指摘する。かつて日本の単位面積あたりの収穫量は世界第3位だった。しかし今、その順位は15位まで後退した。生産性の面で世界に遅れを取るようになった。