シジミが国を動かした “奇跡の湖”宍道湖を守れ

2026年10月16日放送 23:47 - 0:01 NHK総合
新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 シジミが国を動かした ~“奇跡の湖”宍道湖を守れ~

母なる湖と呼ばれる宍道湖。海水と淡水が混じり合う汽水は豊かな恵みをもたらした。中でも獲っても獲っても沸いて出てくると言われたのが汽水で育つヤマトシジミだった。1980年代、年間30億円を叩きだす日本一の産地になっていた。シジミ漁の名人・井原信夫は250人の漁師を束ねる組合長だった。井原は船でカゴを引きながらシジミを獲る技術を編み出し、仲間に惜しげもなく教えた。この頃、井原は宍道湖の宝、シジミがもうすぐ獲れなくなるという大きな悩みを抱えていた。1960年代、増え続ける人口に対応するため国は食料増産を推し進めた。全国各地で農地と水を確保するため、干拓、淡水化事業が進められ宍道湖にも白羽の矢が立った。宍道湖の隣の中海の一部を干拓。北側に水門を作り海水の流入を止めて2つの湖を淡水化し、農業用水を確保する計画だった。淡水化すればシジミは死滅してしまう。県は、漁協に対し補償金の支払いとシジミに変わる漁を用意することを条件に淡水化を迫った。漁師たちは悩み抜いた末に同意し補償金を受け取った。1974年に中浦水門が完成した。手続きが進めばボタン1つで水門は降ろされる。そのとき井原たちは淡水化された霞ヶ浦でアオコが大量発生し腐敗臭が街を覆うニュースを見て絶句。井原は漁師たちを集め反対することを決めた。この頃、井原のもとに1人の男が訪ねてきた。それは淡水化を推進する県の研究員・中村幹雄だった。中村は井原にシジミにかわる宝・ホンモロコがあると言った。ホンモロコは料亭などに出される高級淡水魚。井原は宍道湖のシジミを研究者の目で見てくれと言った。中村はシジミを調べシジミが宍道湖の水質を守っていたことを知った。中村は県職員でありながら宍道湖にはシジミが欠かせないと訴えた。しかし国は専門家による報告書を公表し県に水門閉鎖への同意を迫った。同時に中村には隠岐への移動が命じられた。その頃市民の間でも淡水化への疑問の声が上がり始めていた。400人が集まったハゼ釣り大会。主催したのは県職員の竹下幹夫だった。竹下は友人や知人から市民の味がなくなってしまうのを何とか止められないかと相談されていた。竹下は市民団体の代表として自分の職場である県の担当部署に問いただしていた。井原は竹下に一緒に宍道湖を守らないかと言ったが、竹下は首を縦に降らなかった。引っかかったのは漁師が補償金をもらったことだった。


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